時事随想

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ニュースや新聞を見て、想ったことを綴った随想・論説集

10年前のゼロ金利予測と今後10年の金利予測

外国為替保証金取引

 外国為替保証金取引(所謂FX)をしていますが、為替や金利の動向は気になります。筆者の場合は、数日の変動ではなく、月単位・年単位の変動を特に考えています。毎日毎日、為替動向を気にしているのは面倒で、仕事をしながら常時チェックしているのは無理、ということもあります。年単位で長期的に保有するつもりで建玉を持っているので、長期的な金利動向は重要になります。

 10年前(2005年頃)であれば、今後10年間は円はゼロ金利で、ロング建玉を多めに持っても、長期的には金利(スワップポイント)で相当な部分はカバーできると予想できました。そのため、時価評価ベースで多少損失がでていても、ほとんど気にしていませんでした。

 最近は、どこの国も低金利で、かつてのNXドル・豪ドルなどの高金利通貨も、現在では年2-3%ほどの金利にしかなりません。さすが、この金利では時価評価ベースの損失が大きいと金利でカバーするのは難しくなります。外国通貨が高くなったときには、慎重に対応する必要があります。

 それでも、FXを始めてから、リーマンショックの年以外は、常に簿価ベースの利益は上げていて、リーマンショック後の年利回りは平均17%と好成績(但し、税金は考慮せず)。日銀の金利政策の影響が多いとはいえ、それを除いても好成績です。もともとの金額がリーマンショック後のショックで少額投資からの再スタートだったのですが、ここで勝負していれば、今頃は億万長者(笑)。

いつまで、ゼロ金利が続くのか?

 さて、FXでそれなりに稼いでいると気になるのは、いつまでFXで儲けられるのか、ということ。基本的に長期の建玉を持つ取引スタイルなので、スワップポイントの影響を大きく受けます。過去の10年は、10年後も金利はゼロ、浮き沈みはあっても、大幅にレンジから外れなければ、10年単位で見れば、そのうち戻すという安心感がありました。

 しかし、今後の日本の10年後の金利は、かなり高い金利になっていると予想できます。理由は簡単で日本国債を買うための原資なくなり、国債がダブついてしまうからです。これまでは、個人資産があるから日本国債は大丈夫と言われていましたが、今後は団塊の世代の貯蓄が消費され、少子高齢化で社会保障費も引き上げられ、若い世代は貯蓄する余裕がなくなります。今もその傾向がでていますが、所謂2025年問題*1が顕在化するころにはどうなることやら。

 もっとも、国債の引き受け先がないことを避けるために、異次元の日銀国債引き受け(要するに財政ファイナンス)を行う可能性は高いですが、さすがにそれをやると極端な円安とハイパーインフレを招きそうです*2

悪い金利上昇が起こり始める時期はいつか?

 今は、インフレ期待でお金を回るようにするために、年2%程度のインフレターゲットに基づく金融政策を行っていますが、インフレターゲットに従って金利が動いている範囲であれば、ある意味良い金利上昇です。しかし、金利が制御できない状態になると、悪い金利上昇と言えます。

 少なくとも10年後には訪れるであろう悪い金利上昇が、いつ起こるのか?2020年の東京オリンピックまでは、景気は上昇傾向にあると思いますが、オリンピックが終わった後の景気後退*3が契機になるのではないかと予想しています。つまり、5~6年後。政府は財政出動しますが、返す当てもなくさらに借金を積み上げるという状態になり、円の信用はなくなります。

FXからの卒業

 円の金利が上昇するとロング建玉が成立しないので、数年後には、FX取引からは卒業です。将来を予測して、今から次を考えていないといけませんが、真面目に働くこと以外には思いつきません。残念。

(2016/10/20)

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