ここのところ、NHKの集金人トラブルに関する記事を書いています。NHKトラブルの原因は、集金人を用いて時代遅れの集金方法を続けていることに原因があります。また、NHKをサラ金と過去の記事で呼んでいるのは、NHKが合法的にサラ金のような厳しい取立て(受信料徴収)を行っているからです。
「【NHK】サラ金からの卒業(1):税務署が受信料徴収? - 時事随想」では、受信料徴収を税務署に委託するという受信料徴収モデルを説明しました。今回は、より実現性が高い、B-CASカードを有料レンタルとする受信料徴収モデルについて、説明します。
1. B-CASカード
B-CASカードはデジタル化された放送の暗号を解除するために用いられるICカードで、テレビを購入すると、通常同梱されています。このB-CASカードをテレビに挿入しないと、テレビは受信できません。このB-CASカードはテレビを購入しても、その所有権はB-CAS社(ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ)に帰属しており、所有者はB-CAS社です。つまり、テレビの使用者は、B-CASカードを無償レンタルしているという形になっています。
実は、全てのデジタル放送は、既に暗号化(スクランブル化)されていて、B-CASカードによってスクランブルを解除しているのです。
2. B-CASカードを有償レンタルとした受信料徴収モデル
集金人を用いない受信料徴収モデルとして考えられる方法は、B-CASカードを有償レンタルとし、レンタル料の中にNHKの受信料を含めるという方法です。例えば、視聴者は次のような手続きでテレビを視聴できるようにします。
- 受信料は、世帯単位の課金ではなく、B-CASカード単位(テレビ単位)の課金とする。
- テレビの販売と、B-CASカードのレンタルを分離する(現在は同梱されている)。
- 視聴者は、B-CAS社とB-CASカードの有償レンタル契約を行う。
- 有償レンタル契約がなされた段階で、B-CAS社はNHK及び民放のスクランブル解除を行う。
- 契約は、提携店舗(家電量販店やNHK窓口など)、インタネット経由で行う。
- BS放送は、別途、NHKとBS契約しない限りスクランブル解除しない(BS契約自体は、B-CASカードのレンタル契約と同時に手続きしても構わない)。
- 免除世帯は、NHK経由でB-CAS社との無償レンタル契約を締結する。
- NHKのみならず、民放もB-CASカードのレンタル契約をしないと、視聴をすることができません。
- B-CAS社は、NHK受信料相当の料金をNHKに支払う。
有償レンタル契約時の契約者は、B-CAS社とするのか、NHKとするのか、両社とするのかなど検討する必要はありますが、NHKの放送受信規約の変更(及び、必要であれば放送法64条の変更)で対応できる可能性が高いです。至ってシンプルです。
レオパレスのような場合には、テレビ備え付けのマンションの場合にはB-CASカードは挿入せず、個人持ちのB-CASカードで視聴するという形態で利用すれば構いません。ホテルも同様です。B-CASカードを持っていないお客様には、ホテル側から貸し出す(その分、利用料金が割高となる)ということでよいでしょう。
ワンセグ携帯などは、nanoSIMカードなどのような小さなB-CASカードを作って、それを挿入することで視聴可能となるようにすれば、同様に対応できます。
現状の状態から、新しい受信料徴収モデルへの移行が面倒ですが、移行期間を設けて、B-CAS社と有償レンタル契約に変更し、当面は無課金で、移行期間終了後に課金を開始するということで、スムーズに移行することができるのではないかと思います。
また、B-CASカード単位の課金となるので、新しい料金体系となりますが、1世帯あたり2台程度テレビを保有しているので*1、現状の半額程度の料金となります。また、受信料の支払率は向上するので、それを考慮すれば、半額以下となります(B-CASカード一枚あたり月300円から400円程度でしょうか)。テレビを多数保有している世帯では現状よりも高くなりますが、そうでない場合には、安くなります。
3. 問題点
B-CAS社の有料レンタル条件にNHKとの受信契約を含めれば、放送受信規約の変更のみで、受信料義務化は不要で放送法の変更も必要なさそうです(ワンセグに課金する場合は、放送法の変更が必要)。
また、安定収入によって、NHKの経営や放送内容がさらに劣化する危惧はあるので、これに対する対策(NHK会長・経営委員の信任投票など)を設ける必要はあると思います(前回記事参照)。
B-CASカードで民放も人質にとった料金徴収方法ですが、集金人を使う従来の徴収方法よりは、はるかにまともな徴収方法でしょう。
(2016/11/3)
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