先の衆議院選挙で立憲民主党のtwitterフォロワー数が急増し、SNSを活用した選挙として話題になりました。
1. 立憲民主党フォロワーの偽アカウント疑惑
その際に、立憲民主党のフォロワーには、偽アカウントが多いのではないか、という疑惑が、一部のネットユーザの中で広がりました。
BuzzFeedでは、この疑惑についての検証記事を掲載しましたが(2017年10月6日)、結論としては、「この疑惑には根拠がない」というものでした。
【検証】立憲民主党Twitter「フォロワーを購入」は本当か? 急成長で自民党を抜いたけれど…
2. いまだに流布する偽アカウント疑惑
この偽アカウント疑惑は、今だに流通しているようです。
最近でもあるtwitterの話題で、fakersのデータを引用して「立憲民主党のフォロワーの大半はインチキ」であると主張されている自民党支持者と思われる方がいました。
その時の、データは、以下の通りです(2018年3月4日現在)。
- 偽(12%)、非アクティブ(50%)、良い(38%)
さて、このデータから「立憲民主党のフォロワーの大半はインチキ」という結論を導くことは妥当なのでしょうか?
3. fakersで現時点でのデータを自分で調べてみた
現時点では、どうなっているか、fakersで調べてみました(付録参照)。
結果は、以下の通りです。
- 立憲民主党:偽(12%)、非アクティブ(53%)、良い(35%)
- 自民党:偽(20%)、非アクティブ(43%)、良い(37%)
自民党も、立憲民主党も、良いについては似たり寄ったりです。偽アカウントは、むしろ、自民党の方が2倍近く多くなっています。
この結果からすると、次のような結論を導くことが妥当ではないかと思います。
- 立憲民主党も自民党も、フォロワーの大半はインチキ
あるいは、
- 自民党の偽アカウントは、立憲民主党のおおよそ2倍。
- 100日間ツィートしていない人やフォロー数が250人のフォロワーが、立憲民主党や自民党のフォロワーには多い。
といったような結論でしょうか。
他の政党の調査結果もあれば、
- 政党のフォロワー状況としては標準的なデータである
ということもできるでしょう(前掲のBuzzFeedの記事では他党も比較)。
いずれにせよ、一方だけのデータを提示して、恣意的な結論を導くことは、所謂、「印象操作」と言えるでしょう。データの使い方としては適切ではありません。
4. まとめ
あるデータを用いて導かれた結論は、そのデータが正しいか、データの提示の仕方が適切かなど、注意深くみていく必要があります。そうでないと、一見、客観的に見えるデータに騙されることになります。
客観的と思われるデータを検証する一つの方法としては、比較データを用いる方法があります。
「立憲民主党のフォロワーの大半はインチキ」と主張された方は、自民党支持者と思われますが、自民党のデータも比較した上で、その評価をした方が良かったのではないかと思います。
(2018/3/4)
付録:fakersを用いた偽アカウントの調べ方
fakersを用いて、次のような手順で偽アカウントを調べることができます。
- ステップ1:https://fakers.statuspeople.com/にアクセス。
- ステップ2:「Connect to Twitter」をクリック
- ステップ3:「連携アプリを認証」をクリック。
(「StatusPeople Fake Followersにアカウントの利用を許可しますか?」と出てきたときには、twitterのアカウント・パスワードでログインする。)
- ステップ4:自分のデータがでてくる
fake(偽), inactive(非アクティブ)の定義は、以下のように100日間ツィートしていない(fake)とフォロー数が250人以下(inactive)というもののようです。
3% have not tweeted in 100 days
14% follow less than 250 people
- ステップ5:「twitter usename...」の欄にtwitterのアカウント「CDP2017」(立憲民主党)や「jimin_koho」(自民党)などを入力して、「Search」をクリックする。
無料でできるのは、数回だけです(確か、3回まで)。ご留意ください。
(a) 立憲民主党
(b) 自民党