時事随想

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ニュースや新聞を見て、想ったことを綴った随想・論説集

森のくまさんは、変質者を警告する歌だった⁉

くまさんの挙動が怪しい

 この前、姪と「森のくまさん」を一緒に歌ったのですが、くまさんの挙動がどうもおかしいことに気が付きました。

 森で出会ったくまさんがお嬢さんに「お逃げない」というところです。逃げなければならない理由が分かりません。

 そこで、くまさんは優しい熊ではなく、実は、変質者であるという仮説を立てました。

 変質者であるくまさんは、「お逃げなさい」とお嬢さんに言って、お嬢さんを逃げさせます。その後、わざわざ「落し物」のイヤリングを届けることで、自分が優しい熊であることを演出します。お嬢さんは、この演出に騙されて、くまさんを優しい熊と思い込んでしまいます。もちろん、イヤリングは、落し物ではなく、お嬢さんから掠め取ったものです。

 つまり、森のくまさんは、変質者に対する警告の歌で、以下のような解釈ができます。

  • ある日、夜道で女の子は変質者に出会った。
  • 変質者は、夜道の一人歩きは危ないよ、早く帰りなさい、と警告。
  • 女の子は、夜道を急いで帰った。
  • 変質者は、女の子を追って、掠め取ったイヤリングを女の子に渡す。
  • 女の子は、変質者を信じ切って、感謝する。
  • お嬢さんのように変質者を信じ込んでしまうと、危険である。

 この解釈聞いて、姪は歓んでいましたが、他にも変な歌謡解説をしてあげるので、免疫があるのでしょう(笑)。

 さて、このような視点から、新しく替え歌を作ってみました。

暗がりのおじさん

ある日、暗がりで
おじさんに、出会った
日暮れの  暗い道
おじさんに、出会った

おじさんの、言うことにゃ
暗がりは、危ないよ
一人で、暗い道
急いで、帰った

ところが、おじさんが
後から、ついてくる
おじさんの、足音が
ひたひたと、近づく

お嬢さん、お待ちなさい
ちょっと、落とし物
ママに、買ってもらった
大切な、スマートフォン

ありがとう、ございます
いい人ね、優しいな
おじさんと、暗い道
一緒に、帰った

おじさんは、近道を
教えて、あげると
もっと、暗い道
歩いて、行った

おじさんは、きょろきょろと
辺りを、見回す
おじさん、どうしたの
嫌よ、嫌 嫌よ

やめてよ、やめて
誰か、助けて
誰か、助けて

原曲では、熊さんは危険な動物

 森のくまさんの原曲は、「The Other Day, I Met a Bear」「The Bear in the Forest」などのタイトルで歌われてきたアメリカ民謡です。

 原曲では、森の中で出会った熊さんが、「どうして逃げないんだい?銃を持ってないようだけど(襲うよ)」と、熊は警告するので、「逃げる」と繋がるようです。

 原曲で危険な動物として描かれている熊が日本語訳では優しい熊になっているので、熊さんが挙動不審となってしまうようです。

 このブログを書くにあたって、調べて知りました。

参考文献

(2018/4/11)


公開処刑人 森のくまさん ―お嬢さん、お逃げなさい

堀内 公太郎
(宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ, 2014)

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森のくまさん(日本語版)

あるひ もりの なか
くまさんに であった
はな さく もりの みち
くまさんに であった

くまさんの いうことにゃ
おじょうさん おにげなさい
スタコラ サッサッサのサ
スタコラ サッサッサのサ

ところが くまさんが
あとから ついてくる
トコトコ トッコトッコト
トコトコ トッコトッコト

おじょうさん おまちなさい
ちょっと おとしもの
しろい かいがらの
ちいさな イヤリング

あら くまさん ありがとう
おれいに うたいましょう
ラララ ラララララ
ラララ ラララララ
ラララ ラララララ
ラララ ラララララ

作詞・作曲:不明(アメリカ民謡)、日本語訳:馬場祥弘


よいこのどうよう~森のくまさん

(ポニーキャニオン,2013)
(Amazon Music)

原曲

原曲の歌詞・日本語訳(意訳)
<注:様々な歌詞が存在する。以下はあくまでも一例>

The other day, I met a bear,
A great big bear, A way up there.
He looked at me, I looked at him,
He sized up me, I sized up him.

ある日クマと出くわした
かなりデカい熊に 道の途中で
クマは僕を見て 僕も熊を見た
クマは僕を見定めて 僕も熊を見定めた

He says to me, "Why don't you run?"
"'Cause I can see, you have no gun."
I say to him, "That's a good idea."
"Now let's get going, get me out of here!"

クマは言った 「逃げなくて大丈夫?」
「だって君は銃を持っていないみたいだから」
僕はクマに言った 「そりゃいい考えだ」
「それじゃ早速逃げるとしよう」

I began to run, away from there,
But right behind me was that bear.
And on the path ahead of me,
I saw a tree, Oh glory be.

僕は走って逃げ出した
でもすぐ後ろにはあのクマが
道の先には木があった ありがたい

The lowest branch was ten feet up,
I'd have to jump and trust to luck.
And so I jumped into the air,
But that branch away up there.

低い枝でも3メートル
運にまかせて大ジャンプ
体は宙を舞ったけど
あの枝まではとどかない

Now don't you fret, and don't you frown,
I caught that branch on the way back down.
That's all there is, there ain't no more,
Unless I meet that bear once more

心配しないで 機嫌を悪くしないで
倒れかけながらも なんとか枝をつかめたんだ
僕の話はこれでおしまい これ以上は何もないよ
またどこかであのクマに出くわさない限りね

引用:森のくまさん アメリカ民謡 歌詞・日本語訳・試聴


The Other Day, I Met A Bear【森のくまさん】

KIDS BOSSA
(Amazon Music)

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