安田純平さんの解放のためにテロ集団に支払った身代金は、武器調達資金になり、そのため多くの人命が失われることになるかもしれない、という批判があります。
そもそも、安田順平さんを誘拐した集団は、単純にテロ集団と呼べる組織なのでしょうか?反アサド勢力であることは確かだと思います。そして、資金の一部は武器調達をはじめとした闘争資金に使われるのでしょう。
しかし、その闘争の目的はシリア市民を守るための活動でしょう(少なくとも名目と信条上は)。武力闘争が、政府による圧制(時として、近代兵器を使った無差別殺人)に対する反体制活動であることは少なくありません。
シリアに関しては、報道が少なく、私自身は、実情をよく理解できていませんが、これまでの内戦・戦争の例から言って、単純にテロ集団とレッテルを張って、絶対悪と判断をすることが正しいこととは思えません。判断するには情報が少なすぎます。
今回の組織の母体と思われるヌスラ戦線は、最近までは米国の支援を受けた反アサド勢力でした。トルコ・カタール・クエートなどの支援を受け、現在も、米国製武器が使われています。代理戦争的な内戦でもあります。組織も分派が多く、ISIL・トルコ・イラン・ロシアなども関係してカオスです。
それでも、米国等の支援がなくなった、あるいは、上位組織からの資金提供がなくなったからといって、人質によって活動資金を得ることが正しいとは言えません。
しかし、その裏にある事情については、理解しておくことは必要と思います。
(2018/10/28)
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誰が私を人質にしたのかーイラク戦争の現場とメディアの虚構
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安田順平さんを誘拐した集団は、単純にテロ集団と呼べる組織なのでしょうか?反アサド勢力であることは確かだと思います。そして、資金の一部は武器調達をはじめとした闘争資金に使われるのでしょう。 https://t.co/20lgstX8q8
— 天祐虎之助 (@TenyuToranosuke) 2018年10月28日