時事随想

時事随想

ニュースや新聞を見て、想ったことを綴った随想・論説集

なぜ外務省は自衛隊の海外派遣に積極的なのか?

 不思議なことは、湾岸戦争以来、外務省が自衛隊の海外派遣に積極的なようです。

湾岸戦争のトラウマ

 湾岸戦争では、日本は約130億ドル(全戦争費用の約2割)も、多国籍軍への支援金を支出したにも拘わらず、クウェートの感謝広告に日本の名は載りませんでした。

「多国籍軍の兵士は命をかけて戦っているのに同じ石油の恩恵を受ける日本はお金を払うだけで良いのか」と批判を受けたと言われています。

 所謂、湾岸戦争のトラウマです。

 その後、日本国内では「国際貢献」のあり方について議論が活発になりました。

クウェートの感謝広告

 しかし、2015年9月10日の東京新聞によれば、クウェートの感謝広告から日本の名前を外したのは米国だとあります。ありそうだけど本当かな?

全国民必読!湾岸戦争のトラウマ「金を出すだけでは国際社会から評価されない」の大嘘(2015.9.10東京新聞より) | mixiユーザー(id:23621043)の日記

 説明によると、発案者は当時の駐米大使サバハ(故人)。感謝広告を企画し、米国防総省に多国籍軍の参加国リストを求めた。もちろんそこに日本の名はない。「戻ってきたものがそのまま広告になったんだ」とアルシャリクは言う。

 仮に本当ならば、米国によって作られた湾岸戦争のトラウマの世論誘導によって日本政府が自衛隊を海外派遣させられることになった、あるいは、湾岸戦争のトラウマを利用した日本政府が自衛隊を海外派遣したということになります。

 しかし、クウェートの感謝広告を誤解して、日本がトラウマ化したという見方もあるようです。

 外岡は、日本が国際社会から感謝をされていなかったという筋立てで語り継がれることに「感謝広告は米国で当時、ほとんど話題にならなかったし、いまだにその話をするのも日本人だけ。どうやって広告ができたか検証していれば、こんな話にはならなかったでしょう」と自戒を込めた。

外務省は売国奴?

 東京新聞の記事には、次の記載もあります。

 当時の外務省の元高官は「(在米)大使館の張り切った連中がさあ首を取ったと広告を使ったのは間違いない。米国の議員にたたかれていたから。それに乗って、やっぱりお金だけではだめなんだという議論に持っていきたかったんだよ」と証言する。

 これが、もしも本当なら、外務省は、まさに売国奴。

 外務省では、今もこの構図が続いているとは、信じたくはないです。しかし、現在もこの構図が続いているから、自衛隊の海外派遣に積極的という疑念も湧きます。


剣持 一巳編纂
湾岸戦争と海外派兵―分析と資料
緑風出版
(1991)


内藤 功, 上原 久志, 紙谷 敏弘
よくかる自衛隊問題―「専守防衛」から「海外派兵の軍隊」へ
(シリーズ世界と日本21)
学習の友社
(2009)

f:id:toranosuke_blog:20180404160551j:plain

湾岸戦争後、自衛隊が積極的に海外派遣されることになる。 https://blogs.yahoo.co.jp/asaka_kichimondai/68771384.htmlより引用
f:id:toranosuke_blog:20180404162533j:plain
2015年9月10日 東京新聞朝刊
http://ogswrs.blogspot.jp/2015/09/2015910.htmlより引用

(2018/4/4)

関連記事

Copyright © Tenyu Toranosuke. 時事随想 All Rights Rreserved.