時事随想

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時事随想

ニュースや新聞を見て、想ったことを綴った随想・論説集

魚釣島奪還作戦~ある一つのシナリオ~

魚釣島奪還作戦

 それは、一隻の漁船の遭難から始まった。

 201x年8月、台風16号の影響で東シナ海は荒れていた。尖閣諸島周辺で鰹漁をしていた中国船籍の漁船が遭難信号を発した。東シナ海を管轄する海上保安庁第十一管区海上保安部は、中国漁船の救助要請に応じ、魚釣島への寄港を認めた。漁船の乗組員は、魚釣島に上陸し、台風が過ぎ去るのを待った。

 予てから尖閣諸島は中国固有の領土と信じ、反日感情をもっていた漁船の船員達は、中国国旗とともに「這裡是中國的領土(ここは中国の領土だ)」と書かれた垂れ幕を魚釣島に掲げた。

 日本政府は、これを示威活動とみなし、船員達への対応を、海難救助活動から、不法入国者への警備活動として対処することを決定した。この決定に基づき、海上保安庁は、船員達を逮捕・拘束するため、巡視船いしがきを魚釣島へ派遣した。

 中国政府は日本政府に強く抗議したが、日本政府は決定を撤回しなかった。日本の対応に対し、中国政府は、自国領土「釣魚島」における自国民保護の立場から、船員達を「救助する」ことを決定し、中国国家海洋局の海監を派遣した。さらに、公海上には人民解放軍の艦隊を待機させた。この中には上陸作戦を行う海軍陸戦隊の揚陸艦も含まれていた。日本政府も、石垣島・宮古島所属の全ての巡視船を追加派遣し、海上自衛隊の護衛艦・揚陸艦を尖閣諸島沖に待機させた。

 尖閣諸島は、日本と中国の一触即発の緊張状態となった。日本政府は外交ルートを通じて、海監及び海軍艦隊の退去を要請したが、中国政府はこれを受け入れなかった。中国海監が魚釣島に接近する中で、巡視船いしがきは海監に対して威嚇射撃を行った。中国海監は、これを攻撃と見做し、いしがきに反撃・撃沈した。中国海監は魚釣島に上陸、占拠した。漁船の船員達は、中国海監に保護された。いしがき乗船の海上保安官も保護されたが、不法行為者として拘禁された。

 この事態に際し、日本政府は、海上自衛隊に防衛出動命令、すなわち、中国海監への攻撃命令を下すことはなかった。中国との軍事紛争となることは明白だったからである。日本政府は、国際社会に向けて中国に対する非難声明を発し、欧米各国・アジア各国もこれに賛同、国連安保理に提起した中国への非難決議案にも、理事国14カ国が賛成した。しかし、非難決議案は、当然ながら中国の拒否権行使により否決された。国際社会の非難にも拘わらず、中国は魚釣島の占拠を続け、実行支配を強めていった。

 日本の国内世論は、防衛出動命令を出さなかった政府に対し、強烈な批判を浴びせた。内閣は総辞職し、新内閣が発足した。新内閣の首相は、これで3度目の任命である。

 新政府は、魚釣島奪還作戦を計画、世論は熱狂的に支持した。そして、日本は、魚釣島奪還作戦を決行した。

 美しい国の樹立である。

(2015/9/16)

解説

 この記事は、尖閣諸島の占拠と奪還についてのシナリオについて、1年ほど前に執筆しました。

 このシナリオでは、漁船の難破から物語を始めましたが、いま書くなら、大量の漁船団の襲撃というシナリオとなります。また、事件は首相の2度目の任期中に起こりそうな予感がします。

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(再掲:2016/10/16)

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