時事随想

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ニュースや新聞を見て、想ったことを綴った随想・論説集

【NHK】NHKの改革案

先日、最高裁判決がありましたが、日頃思っているNHKの改革案についてまとめます。

改革① NHK訪問員の廃止

 NHKの最大の問題の一つは、訪問員を使って脅迫的に受信契約を迫る点です。

 変な輩が家の周りをうろついて訪問することだけは止めて頂きたいです。私が住んでいたマンションでは、マンション関係者と郵便・新聞の配達などの合理的な理由がある人を除き、立ち入ることを禁止してます。それは、マンション敷地入り口にも掲示されています。つまり、押し売り・勧誘・NHKなどはお断りです。その敷地内に侵入しているのですから、不法侵入の犯罪行為を犯していることは明らかです。オートロックのマンションにまで侵入してくるは、言語道断です。

 訪問員を各家庭に訪問させて、脅迫的に受信契約を迫るという時点で、NHKは社会的に失格です。それだけで、存在させてはいけない組織と言えます。

 訪問員を使って契約させる方法は即刻廃止して、新しい方法を検討すべきです。

改革② 世帯単位からBCASカード単位の受信契約へ

 世帯単位の契約というのも古い考え方です。例えば、同じ世帯でも、不仲の家庭内別居夫婦がそれぞれテレビを持っていた場合、いずれに、NHK受信契約の義務があるか、不明でトラブルになるかもしれません*1。親子であっても同じです。子が成人していれば、親は子のテレビの受信料を子供に負担させたいかもしれません。

 また、テレビを複数台持っている大家族の世帯と1台しか持っていない世帯で同じ受信料という点も問題です。1台しか持っていない世帯としては、不公平さを感じる契約です。世帯で1契約とすることに、特に合理性はありません。

 現在のテレビは、(ワンセグ携帯など一部を除き)BCASカードを用いてテレビを視聴できるような仕組みにしています。このカードがなければ、基本的にテレビを映すことはできません。また、このカードを用いたスクランブル化も可能です。

 このBCASカードを契約単位とし、受信契約がない場合には、受信できないようにすればよいでしょう。実質的には、NHK放送のスクランブル化となります。NHKの契約がない場合には、民放も含めてBCASカードが有効化できないようにすれば、NHKのみのスクランブル化を回避できます(この場合、再度、憲法上の問題が発生する可能性があるでしょうが)。

 また、テレビはあっても、BCASカードを有効化しなければ、NHKとの受信契約の義務を負うことはないので、テレビをパソコンやゲームのモニターとして使っても無駄に受信料を払う必要はなくなります。

 この制度変更により、テレビを見たい視聴者がNHKと契約を行うことになるので、現状のようなNHK訪問員を使った非効率でトラブルが多い受信契約方法を無くすことができます。また、徴収業務のための経費を大幅に削減することができます。

改革③ NHKの分割

 NHKは「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように豊かで、かつ、良質な放送番組」を行うことを目的としていますが(放送法15条)、民放が充実し、インタネット放送も普及している現在、その役割を終えているでしょう。

 このため、NHKを、次の3つに分割すべきと考えます。

  • 公共放送NHK:不偏不党・公正中立が求められる放送のみを行い、受信料収入によってその費用を賄う。放送は、ニュース、ニュース解説、国会中継、討論番組などに限定する。
  • 国営放送NHK:教育番組などを担当する。
  • 民営放送NHK:公共放送・教育放送を除く、娯楽番組やスポーツ中継などの放送を担う。朝ドラ・大河ドラマ・映画、紅白歌合戦、相撲や野球などのスポーツ中継、オリンピック中継などの娯楽番組は民営NHKが担う。BS放送も、ほとんどが娯楽番組なので、民営NHKが担当する。運営費は、広告モデル・視聴料モデルなどあるが、いずれにせよ、受信料や税金は投入しない。

 受信契約の義務と費用負担が発生するのは、公共放送NHKのみです。現在の支出構成を良く知りませんので推測になりますが、受信料は現在の半分程度、つまり、世帯単位で月500円程度で賄うことができると思います。また、BCASカードベースで課金するとすれば、1世帯の平均テレビ保有数は約2台*2なので、1台あたり月250円程度の負担となるでしょう。

改革④ NHKの監督機能の強化

 報道対象となる政府・政治家の関与を弱めるべく、より独立した機関によるNHKの監督が必要です。現状でも形式的には第3者によるガバナンスが行われていますがが*3、経営委員会の委員を総理大臣が任命し、国会が予算案を承認するため、政府・国会の影響力は強いと言わざるを得ません。

 この点については、英国BBCが参考になると言われますが、日本では、公共放送は国民のものであるという意識が低く、政治家関与を許さないという気概を持っているわけではないので、英国のようなガバナンスができるかは不明です。

 現状、視聴者は、NHKガバナンスについては実質的に何ら権限がない状態です。少なくとも、視聴者は、株主ぐらいの権限は持ってしかるべきと思います。例えば、最終的な予算案の承認権、人事承認権です。少なくとも、NHK会長については、(任期途中で)信任投票を行う制度があれば、あまりにも不適格な会長を任命することはなくなるでしょう。

最後に

 放送法制定から70年近く経っています。その間、デジタル化・インタネットの普及に伴ってメディアの役割が大きく変わっています。NHKや受信料制度について根本的に見直す時期に来ているのではないでしょうか。

(2017/12/10)

関連記事

*1:先の最高裁判決(最高裁判決文。PDFの20ページ目7行目以降を参照))の鬼丸かおる裁判官の補足意見でも、「受信契約を締結する義務が世帯のうちいずれの者にあるかについて規定を置いていない。(中略)家族のあり方や居住態様が多様化している今日,世帯が受信契約の単位であるとの規定は,直ちに1戸の家屋に所在する誰かを締結義務者であると確定することにならない場合もあると思われる。」など、現在の世帯単位の契約についての問題点が指摘されています。

*2:カラーテレビの普及率現状をグラフ化してみる(2017年)(最新) - ガベージニュース

*3:総務省, 「我が国及び諸外国の国営放送」, 2006/1.

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