時事随想

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【森友事件】国有地売却における疑惑の価格決定方程式(簡略版)

 以前の記事国有地売却における疑惑の価格決定方程式と題して、森友事件における国有地売却の価格決定の疑惑について書きました。最近、twitterにも同様の主旨の投稿を行いましたが、その投稿を元に先の記事を簡略化しました。

会計検査院報告から分かること

Q.「8億円値引きされても説明が付かない土地では無い様に思うのですが...」

 ゴミ撤去費8億円の積算根拠自体も怪しいですが、それは土地を掘り返せば、直ぐに明らかになります。しかし、いまのところお国にその気はありません。それでも、土地取引の異常性については、会計検査院の報告書から分かります。

 その一例として、売却額の決定について説明します。

 財務省は、国交省見積りの有益費、つまり(a)ゴミ撤去費8億.1974万円と(b)地盤対策費5億8492万円(43ページ)を反映して不動産鑑定を依頼しました。この有益費は土地評価額から差し引いて売却できます。すると、土地は14億円466万円以上の評価でないと、売却側の国が森友にお金を支払うという異常な取引となります。

 不動産鑑定士は、実際には3階建の校舎に対する8階建を前提とした地盤対策費5.8億円を認めず、その代わりに、地盤の問題を土地価格の10%の減価要因とします。そして、(a)ゴミ撤去費と(b)地盤による減価を考慮して、土地評価額を9.56億円とします(p.81-82)。このことから、有益費を考慮しない土地価格をXとすると、次式が成り立ちます。

X-0.1X -8.1974 = 1.34

この式を解くと、土地価格Xは、10.6億円と分かります。

 国交省が見積もった地盤対策費5.8億円を認めた場合、つまり、国交省見積りの有益費14億円をそのまま使う場合、国は、土地価格10.6億円の土地に3.4億円のお土産を付けて森友に譲渡しようとした、ということになります。

 上記は、会計検査院の報告書から判明することです。


森友・国有地払下げ不正の構造

小川 敏夫
(緑風出版, 2018)

疑惑の価格決定プロセス

 しかし、3.4億円のお土産を付けて森友に譲渡するなどあり得ません。

 不動産鑑定では、土地価格Xを調整パラメータとして、1回目のゴミ撤去費として国が森友側に既に支払った1億3176万円以上となるように、土地価格、土地評価額を決めたものと考えられます。

  • 財務省と連携が悪く、空気が読めない国交省は、価格14億円と思っている土地を森友側に0円で譲渡するつもりで、有益費14億円を計上した。
  • しかし、お土産つけて土地譲渡をすることはできないので、森友側には1.3億円以上支払って貰わなければなりません。
  • このため、財務省は、売却価格が1.3億円となるように不動産鑑定士に土地鑑定を依頼した。

 このようにして、得られた土地評価額が9.56億円、売却価格1.34億円です。

 会計検査院報告書だけでも、主犯は財務省、KYな共犯者が国交省、お得意様に言いなりの不動産鑑定士という構図が見えてきます。

 他にも、異常なことが、会計検査院報告書の随所に記述されています。

(2018/4/3)

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