改憲論議が起こっていますが、憲法9条を考えるに当たっては、戦争・紛争に対する日本の国際貢献についても考えていく必要があるように思います。
1. 米国が関与した戦争
主に米国が関与した主な戦争のうち、参加国が多い戦争をウィキペディア「アメリカ合衆国が関与した戦争一覧」からピックアップすると、以下のものがあります。
- 朝鮮戦争(1950-1953)
- ベトナム戦争(1965-1975)
- 湾岸戦争(1990-1991)
- (ソマリア内戦)(1992-1995)
- (ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争)(1994-1995)
- (コソボ紛争)(1998-1999)
- アフガニスタン紛争(2001-2014)
- イラク戦争(2003-2011)
- (リビア内戦)(2011)
- 対ISIL戦争(2014-)
仮に憲法9条がなければ、()の戦争は参加しなかったかもしれませんが、それ以外の戦争に日本は恐らく参加していたでしょう。
2. 参加義務がある戦争・ない戦争
前述の戦争のうち、日本に参加義務がある戦争、参加義務がない戦争は以下となると私は考えます。
- 参加義務がある戦争: 朝鮮戦争、湾岸戦争
- 参加義務がない戦争:ベトナム戦争・アフガニスタン紛争、イラク戦争・対ISIL戦争
米国のための戦争、米国が引き起こした戦争に、日本は追従する必要ありません。
また、戦争義務がある戦争でも、直接的に戦争に参加するのではなく、資金援助や後方支援・戦後復興への貢献でもよいと思います。
3. 日本の国際貢献
米国のための戦争はしたくない。でも、米国や国際社会から要求される。では、日本はどうすればよいでしょうか?
後方支援を含め日本は全ての戦争行為に関らないで国際貢献する道を模索すべきと私は思います。
戦争に対するスタンスとしては、次の優先順位で構いません。
① 理由をつけて、何もやらない。
② お金だけだして、それ以外は何もやらない。
③ 戦争には参加せず、戦後処理で貢献する。
③-1 国連文民警察に要員を派遣する。
③-2 国連平和維持軍(PKF)に派兵する。
③-3 その他の貢献
米国からは認められないでしょうが、まずは①や②。次に③の優先順位。
参戦しないことの良い点は、日本はいい子ちゃんでいられることです。
4. いい子ちゃんは戦後に活躍できる
戦後処理に米軍が入っても、米国は憎悪の対象なので、テロが止まりません。それが、イラク戦争の長期化とISILなどのテロ組織が台頭する原因です。
日本が戦争に一切関与しなければ、攻撃を受けた国の民衆からすれば、敵ではありません。
伊勢崎賢治さんの記事に、アフガニスタン紛争後の武装解除に関して、次の記述があります。
武装解除が終わった後、ノルウェーにも、ドイツにも、「あの武装解除は、地上部隊を出していない日本にしかできない役割だった。アフガンに地上部隊を出していた我々にはできない仕事だった」と言われました。
伊勢崎賢治, 「集団的自衛権の「問題点を一気に学ぶ」伊勢崎賢治『戦場からの集団的自衛権入門』から」, SYNODOS, 2015/8/11.
これが、日本が模索すべき国際貢献ではないでしょうか?
伊勢崎 賢治
武装解除 -紛争屋が見た世界
(講談社現代新書)
(2004)
5. 積極的平和主義と積極平和
イラク戦争には後方支援という形で兵站で戦争参加してきましたが、これでは日本は被攻撃国の人々にとっては敵国です。テロと闘う国々への人道支援のための資金提供でさえISILは敵対行為と見做しました。米国は政府を倒した後の戦後処理で失敗し、イラク戦やアフガニスタン戦争は長期化しています。
平和のために戦争をする積極的平和主義(proactive contribution to peace)ではなく、戦争が行らないような環境を作る積極的平和(positive peace)のためのアプローチによって、戦争・紛争の問題を根本的に解決していく道を模索していくべきでしょう。
日本は、一切、戦争には関わらず、戦後処理に貢献する道を模索すべきではないでしょうか?つまり、日本は、戦争に参加しないメリットを戦後の武装解除・平和維持・復興のために生かし、国際社会に貢献することについて真剣に考えるべきです。
(2018/4/3)
池上 彰
世界を救う7人の日本人 国際貢献の教科書
(朝日文庫)
(2016)
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- twitterへの投稿 (2018/4/2)
参加義務がありそうな戦争:朝鮮・湾岸
— 天祐虎之助 (@TenyuToranosuke) 2018年4月1日
参加義務がない戦争:ベトナム・アフガン・イラク・対ISIL
アメリカのための戦争に日本は参加する必要はない。
戦争はしたくない。でも、国際貢献も要求される。では、どうすればよいか?
私は、後方支援を含め日本は戦争に参加しない道を模索すべきと思う。 https://t.co/kQtnQRUEjI